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横浜市水道局の水インフラシステム輸出の取組

  • 2014.8.11

  水のインフラ整備が進む途上国では、施設建設後の維持管理や事業運営までパッケージとなった上下水道事業などに対して高いニーズがあります。
  他方、我が国の民間企業は膜処理技術などの優れた要素技術を有しているものの、世界トップレベルの漏水率の低さや高い料金徴収率を実現させている水道事業は長年地方公共団体が担当してきたため、総合的な施設の維持管理や運営のノウハウの蓄積が限られており、国際競争入札において事業経験などの資格要件を満たせないという問題が生じています。
  このため、我が国の水インフラシステムを世界に展開していくためには、維持管理や事業運営のノウハウをもつ地方公共団体と、優れた技術を有する民間企業による官民連携や、民間企業へのノウハウの移転が不可欠です。

  横浜市水道局は、横浜市水道事業の将来に向けた経営基盤強化のため、平成22年に「横浜ウォーター株式会社」(以下「横浜ウォーター」という。)を設立しました。
  横浜ウォーターは、横浜市水道局の技術力・ノウハウなどを活用し、優れた技術をもつ横浜水ビジネス協議会会員企業(約150社)と連携してビジネス展開を進めています。
  海外展開も積極的に行っており、これまでに東南・南アジアや中東、アフリカにおいてコンサルティングの実施や研修員の受入など、40件以上の事業を実施してきました。

  平成25年には、会員企業と連携し、JICAが実施するベトナム「ダナン市ホアリエン上水道整備事業準備調査(PPPインフラ事業)」を受託しました。
  これに先立ち、横浜市水道局は、平成22年からJICAの人材開発プロジェクトを通じてダナン市水道公社との信頼関係を構築してきており、平成25年4月には、横浜のもつ資源・技術を活用した公民連携による国際技術協力(Y-PORT事業)の一環として、ダナン市と「持続可能な都市発展に向けた技術協力に関する覚書」を締結しました。
  水分野は、安全が重視される分野であり、こうした信頼関係の構築は事業を成功させる上で重要な要素となります。
  また、優れた技術をもつ中小企業と連携し、途上国のニーズに合った海外展開も実施しています。
  配水管の80%以上で樹脂管が使用されているインドネシア国北スマトラ州メダン市では、株式会社グッドマンが開発した、樹脂管に特化した漏水探索器を用いて、効率的な漏水対策の有効性を実証・普及する事業を行っています。
  途上国のニーズに合致する中小企業の技術を発掘し、海外展開を実現させていることは注目に値します。

出典:平成26年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書 第1部第3章グリー ン経済の取組の重要性
~金融と技術の活用~ コラム欄(p.112~p.113)