横浜ウォーター株式会社(本社:横浜市中区相生町6-113 代表取締役:鈴木 慎哉)は、2021年5月6日付で独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する「サウジアラビア国節水・漏水対策、水質改善に係る情報収集・確認調査」を共同企業体(JV)構成員として受託しました。
【事業の背景・概要】
サウジアラビアは年間降水量が59mmと非常に限られ、再生可能な表流水や地下水での水供給量は水源全体の18%に留まっています。一方、その他82%は再生不可能な化石水1に依存しており、2030年までに一部地域で枯渇し、2080年には完全に枯渇するとみられています。
一方で、同国は近年の経済成長、工業化及び人口増加を背景に水消費量が年平均7%増加しており、海水淡水化によって大規模な水資源開発を進めてきましたが、2019年時点で全供給量の9%(年間23億m3、都市給水の60%)を賄っているものの、増え続ける水需要に対応できていません。このため、海水淡水化による水資源開発のみならず、効率的水利用による水消費量削減が喫緊の課題となっています。
水利用としては、サウジアラビア全体の水供給量のうち約80%が農業分野で使用されており、その大部分は化石水によって賄われています。このため、サウジアラビアは国内外の機関と節水農業技術の研究開発を進めており、この他、農業灌漑システムでの漏水が約35%にも及ぶことから漏水対策も重要となっています。
さらに、同国では水資源のひっ迫に加え、地下水及び化石水の過剰揚水による地下帯水層の塩分濃度の上昇、廃棄物処分場からの浸出液や未処理の工場排水等による地下水汚染問題が発生しています。
こうした漏水・節水対策、水質改善に関しては、本邦大手企業のみならず中小企業も多くの技術やノウハウ、特許を有しており、民間企業全体で見たサウジアラビア同分野での課題解決への貢献ポテンシャルは高いと考えられます。
このような背景から、本調査では、サウジアラビアの上水道分野及び農業分野における漏水及び節水対策、水質改善に関する現状、課題、ニーズと本邦民間企業が有する技術製品リソース情報を収集します。さらに、同国での普及を念頭に、現地の効率的な水供給及び節水、水質改善に関する課題への民間技術活用可能性を分析し、今後の取組みの方向性を検討します。
① 活動期間
2021年5月6日~2022年2月28日
② 参加企業(JV)
株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツ(代表者)
八千代エンジニヤリング株式会社(構成員)
株式会社三祐コンサルタンツ(構成員)
横浜ウォーター株式会社(構成員)
③ 主な業務内容
(ア) サウジアラビアの上水道及び農業分野における節水・漏水対策、水質改善に係る現状、課題、ニーズをリスト化する
(イ) サウジアラビアの海外企業ビジネス環境に係る情報を収集する
(ウ) 本邦民間企業の製品・技術に係る情報を収集する
(エ) 関心をもった本邦民間企業の、サウジアラビア派遣プログラムを企画・運営する
(オ) 本邦民間技術の活用可能性を分析し、民間連携の可能性も含めた今後の取組みの方向性を検討する
1化石水:地層が堆積したときに封じ込められ、数万年以上にわたって大気との水循環から切り離された水
当社は、横浜市の有する上下水道事業ノウハウを活かし、国内外への技術協力等の事業支援に貢献するとともに、持続性の高い上下水道事業運営や官民連携事業の創出を追求して参ります。
本件に関するお問い合わせ:toiawase@yokohamawater.co.jp